みずほ銀行、紙の通帳有料化の背景
みずほ銀行が、業界に先駆けて「紙の通帳」の有料化を発表しました。
具体的な動きはこうです。(開始は来年の1月18日)
まず、ネットでみずほ銀行と取引できる「みずほダイレクト」上に、過去10年間の取引を確認できる「みずほダイレクト通帳」を提供し、パソコン、スマホで自分の取引はいつでも確認できるようにします。
そのうえで、紙の通帳については、有料にして、1冊1100円(消費税込み)にさせていただきますという事です。
すでに多くの方が「みずほダイレクト」での取引をされているのでしょうから、ネットを使っておられる方には特別の影響はないという事でしょうが、預金通帳で、自分の財産や収入、支出を管理されている方には、多少ショッキングかもしれません。
偶々これからは「ウィズ・コロナ」の時代という事で、人と人の接触は避けるという事であれば、それも一つの選択肢という面もあるでしょう、しかし本当の原因はすでに皆様ご理解のように、別の所にあります。
銀行というのは、本来おカネの余っている人のお金を預金として集め、おカネが足りない人に貸してあげる「預貸業務」が本来の仕事で、預金には利息を支払い、貸金からは利息を受け取るというころで、貸金の利率は、預金の利率より高く、その金利の差「利鞘」で経費を支払い利益を出すというのが銀行機能の基本です。
実体経済が健全に動いている時はこれが正常に働きます。1960年代の世界、高度成長期の日本のように、経済発展のための資金需要は多く、預金さえ集めれば、資金需要はいくらでもあるという時代は銀行にとって黄金時代でした。
しかし、世の中が次第に豊かになって、企業でも、個人でも資本蓄積が進み、おカネを借りなくても企業なら経営が、個人なら生活が出来るようになると、預金は増えますが、貸し出す相手が少なくなるという、蓄積社会、安定成長・低成長時代に入りますと、以前ほど資金需要が無くなります。
金利はおカネの貸し借りの値段ですから、おカネの需給関係が、カネ余りになると金利は下がります。貸出金利が下がりますと、預金金利も下がるわけですが、預金金利はゼロ以下には下げられません。その結果、利鞘が縮小します。
これが豊かな社会、蓄積社会の必然的帰結です。
しかし、これだけでは預金通帳を有料にするほどの銀行収益の低下といった問題は起きないでしょう。経済活動の中では、常に資金不足の企業や個人は存在し、例え経済成長がゼロでも利鞘がゼロに近づくようなことはないでしょう。
「銀行冬の時代」の原因はそのほかにも、ご承知のように、大きなものがいくつかあるのです。
「貯蓄から投資へ」、「銀行よさようなら、証券よこんにちは」という掛け声は、昭和の時代からありました。
平成不況になってからは、デフレが続き、 銀行はまさに氷河期でした。
現政権になってからは、円高を避けるためのゼロ、マイナス金利、異次元金融緩和の世の中になりました。
これは両方とも、アメリカが赤字になって変動相場制になった結果で、黒字国の負担で、赤字国を救済するという金融面からの仕組みになったことによります。
もう一つは、世界中が、パソコン、スマホに時代になったという事でしょう。ネットを使えば、通帳より便利ですが、デジタル・デバイドの問題は必ずついて回ります。
問題が大きいので後半は端折ってしまいましたが、預金通帳の有料化はどんどん広がり、銀行冬の時代はまだまだ続きそうですね。
みずほ銀行が、業界に先駆けて「紙の通帳」の有料化を発表しました。
具体的な動きはこうです。(開始は来年の1月18日)
まず、ネットでみずほ銀行と取引できる「みずほダイレクト」上に、過去10年間の取引を確認できる「みずほダイレクト通帳」を提供し、パソコン、スマホで自分の取引はいつでも確認できるようにします。
そのうえで、紙の通帳については、有料にして、1冊1100円(消費税込み)にさせていただきますという事です。
すでに多くの方が「みずほダイレクト」での取引をされているのでしょうから、ネットを使っておられる方には特別の影響はないという事でしょうが、預金通帳で、自分の財産や収入、支出を管理されている方には、多少ショッキングかもしれません。
偶々これからは「ウィズ・コロナ」の時代という事で、人と人の接触は避けるという事であれば、それも一つの選択肢という面もあるでしょう、しかし本当の原因はすでに皆様ご理解のように、別の所にあります。
銀行というのは、本来おカネの余っている人のお金を預金として集め、おカネが足りない人に貸してあげる「預貸業務」が本来の仕事で、預金には利息を支払い、貸金からは利息を受け取るというころで、貸金の利率は、預金の利率より高く、その金利の差「利鞘」で経費を支払い利益を出すというのが銀行機能の基本です。
実体経済が健全に動いている時はこれが正常に働きます。1960年代の世界、高度成長期の日本のように、経済発展のための資金需要は多く、預金さえ集めれば、資金需要はいくらでもあるという時代は銀行にとって黄金時代でした。
しかし、世の中が次第に豊かになって、企業でも、個人でも資本蓄積が進み、おカネを借りなくても企業なら経営が、個人なら生活が出来るようになると、預金は増えますが、貸し出す相手が少なくなるという、蓄積社会、安定成長・低成長時代に入りますと、以前ほど資金需要が無くなります。
金利はおカネの貸し借りの値段ですから、おカネの需給関係が、カネ余りになると金利は下がります。貸出金利が下がりますと、預金金利も下がるわけですが、預金金利はゼロ以下には下げられません。その結果、利鞘が縮小します。
これが豊かな社会、蓄積社会の必然的帰結です。
しかし、これだけでは預金通帳を有料にするほどの銀行収益の低下といった問題は起きないでしょう。経済活動の中では、常に資金不足の企業や個人は存在し、例え経済成長がゼロでも利鞘がゼロに近づくようなことはないでしょう。
「銀行冬の時代」の原因はそのほかにも、ご承知のように、大きなものがいくつかあるのです。
「貯蓄から投資へ」、「銀行よさようなら、証券よこんにちは」という掛け声は、昭和の時代からありました。
平成不況になってからは、デフレが続き、 銀行はまさに氷河期でした。
現政権になってからは、円高を避けるためのゼロ、マイナス金利、異次元金融緩和の世の中になりました。
これは両方とも、アメリカが赤字になって変動相場制になった結果で、黒字国の負担で、赤字国を救済するという金融面からの仕組みになったことによります。
もう一つは、世界中が、パソコン、スマホに時代になったという事でしょう。ネットを使えば、通帳より便利ですが、デジタル・デバイドの問題は必ずついて回ります。
問題が大きいので後半は端折ってしまいましたが、預金通帳の有料化はどんどん広がり、銀行冬の時代はまだまだ続きそうですね。